Yoshio Sageshima提嶋 佳生

化学生物工学 博士研究員
  • 1985年生まれ
  • 2011年3月 名古屋大学工学研究科 博士課程(前期課程)修了
  • 2011年4月 名古屋大学工学研究科 博士課程(後期課程)進学
  • 2014年3月 名古屋大学工学研究科 博士課程(後期課程)修了
  • 2014年4月 名古屋大学工学研究科 博士研究員
  • 2013年4月 日本学術振興会 特別研究員(DC2)採用(※例DC2)
  • 2014年4月 日本学術振興会 特別研究員(PD)

高分子の自己組織化に基づいた機能性ナノ構造体の設計

高分子は長鎖状の巨大分子であり、その一次元連結性という独特な化学構造に起因して優れた力学特性をもつ。また炭化水素を基本骨格とするため軽量であり、加工性にも優れているという特徴をもつことから、現在、様々な形で材料として利用されている。さらに、近年ではその用途は多様性を増しており、複数成分を組み合わせた複合高分子による高機能・高性能材料の開発が精力的に進められている。

複合高分子の代表として、異種高分子の末端をつないだブロック共重合体がある。一般に異種高分子は互いに混ざり合わないことから、成分間に反発力がはたらき分子内での相分離が起きる。そして同種の成分同士が集まり多数の分子が自発的に配列(自己組織化)することで、nmオーダーの規則的な周期構造を形成する(図 1)。この周期構造はミクロ相分離構造或いはナノ相分離構造と呼ばれる。その構造周期は他の物質系では達成困難な数〜数百 nmのメソスケールであり、その形状はブロック共重合体の分子特性に応じて様々に変化することが知られている。

私はこのナノ相分離構造を場として利用した、機能性ナノ構造体の構築法について研究している。ブロック共重合体の一成分と非共有ナノ相分離構造の特定相に金属塩(ここでは塩化鉄)を分散させたハイブリッドがある(図 2)。このハイブリッドでは有機相と、金属を含むハイブリッド相からなるナノ相分離構造が形成されている。このハイブリッド調製法は様々な金属塩に対して応用可能であることから汎用性も高く、金属塩添加量によってその構造を制御することも可能である。このハイブリッドでは、特定相の電気特性や光学特性の制御が可能となることから、超微細電気回路やフォトニック結晶といった応用が考えられる。

さらに私はこのハイブリッドから金属塩を選択除去することでナノポーラス膜も構築した(図 3)。この手法ではハイブリッドの薄膜を水に短時間浸漬するという非常に簡単な処理によって金属塩のみを抽出し、規則配列した微細空孔が簡便に得られる。このようなナノポーラス膜は分離膜や触媒のほかにナノアレイの鋳型として利用可能である。

このように、高分子化学と超分子化学や無機化学などの他分野の学術成果を組み合わせることで、ブロック共重合体の自己組織化を利用した多種多様な構造材料設計が可能となってきている。これからも新しい構造材料設計を提案することで将来の技術革新と社会の発展に向けて貢献していきたいと考えている。

図1 ブロック共重合体が自己組織化によって形成するナノ相分離構造

図2 ブロック共重合体/金属塩ハイブリッドの模式図(左)とハイブリッド試料の電子顕微鏡像(中央)及び同一領域の鉄原子マッピング顕微鏡像(右)

図3 ブロック共重合体/金属塩ハイブリッドを用いたナノポーラス膜調製の模式図(上段)とハイブリッド試料(下段左)及びナノポーラス膜の電子顕微鏡像(下段右)

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