Shigehisa Shibayama柴山 茂久

結晶材料工学専攻 博士後期課程3年
  • 1987年生まれ
  • 2012年3月 名古屋大学工学研究科 博士課程(前期課程)修了
  • 2012年4月 名古屋大学工学研究科 博士課程(後期課程)進学
  • 2013年4月 日本学術振興会 特別研究員(DC2)採用

次世代高駆動力集積回路に向けたGeO 2膜の原子層堆積手法の開発

スマートフォンやパソコンといった私たちの生活に欠かせない情報通信機器の性能向上は、その主要構成部品である半導体集積回路、とりわけMOS型トランジスタの高性能化によって支えられている。2000年代に入り、微細化によるトランジスタの高性能化は既に極限に到達し、更なる性能向上には新規材料や新規構造の導入といった工夫が必要不可欠である。我々が目指している次世代のトランジスタは、高誘電率(high-k)絶縁膜/GeO 2/Ge構造を有するFinFETである(図1)。

GeチャネルFinFETの性能を十分に引き出すためには、ゲート構造において絶縁膜/Ge界面の欠陥密度の低減が重要な課題の一つである。現在、酸化プロセスで形成したGeO 2/Ge構造の界面特性が極めて優れていることから、 GeO2を界面層とするhigh-k絶縁膜 /GeO2/Ge構造が注目されている。このGeO 2界面層には、原子スケールで極薄であること、面内において均一な厚さであることに加えて、熱や化学的に安定な構造であることが要求される。一般的に酸化プロセスによって形成したGeO 2膜はアモルファス構造となり、化学的に不安定な構造である。そこで我々は、上記の要求を満たす GeO2界面層を形成する技術として、Ge上のGeO2膜の原子層堆積(ALD)法に着目した。これまでに、テトラエトキシゲルマニウム(有機金属原料)と水(酸化剤)を適切な条件下で交互に供給することで、 GeO2膜のALDを実現している。また、ALD法によって形成された0.3nm相当の極薄GeO2膜は正方晶による多結晶構造であることを我々は見出している(図2のRHEED像)。ALD法で形成したGeO 2膜と熱酸化法で形成したGeO 2膜の水に対するエッチング耐性について調べたところ、ALD法で形成したGeO 2膜の方がエッチング耐性に優れることが分かった(図2)。これはALD法によって形成されたGeO2膜は正方晶であることに起因し、化学的に安定した構造となったことを示している。さらに、ALD法によって形成したGeO 2/Ge界面構造をもつキャパシタにおいて、電気的な界面特性が優れていることも確認している。

今後は、ALD法による結晶GeO 2膜の形成機構を解明し、そして、本手法によって作製したFET特性の実証を行う予定である。

図1 GeチャネルFinFET

図2 GeO2膜の水に対するエッチング耐性の違い(Inset)ALD-GeO2膜表面と熱酸化GeO2膜表面とのRHEED差分像。 GeO2膜厚は0.3〜0.4 nmである。

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