Maki Kushimoto久志本 真希

電子情報システム専攻 博士後期課程2年
  • 1988年生まれ
  • 2013年3月 名古屋大学工学研究科 博士課程(前期課程)修了
  • 2013年4月 名古屋大学工学研究科 博士課程(後期課程)進学
  • 2014年4月 日本学術振興会 特別研究員(DC2)採用

(001)Si基板上RGB白色LD光源実現を目指して

GaN系発光ダイオード(LED)は、1980年代初めまで結晶品質が悪く実用化は不可能とされていた。1985年に名古屋大学で発見されたバッファー層技術により高品質結晶の作製が可能となり、白色LED照明など私たちの生活で身近なものとなった。一方高輝度・高出力光源として注目されているGaN系レーザーダイオード(LD)は、高品質な結晶が必要なことからLEDとは異なり非常に高価なGaN基板を用いて作製されている。そのため非常に高コストになり、特殊光源などへの応用に限定されている。そこで私は安価でかつ集積回路に用いられる(001)Si基板上にGaN系LDの作製を試みている。Si基板上のLDが実現すればコストを抑えるにとどまらず、駆動系と同一基板内に作製できるため小型化しやすく、将来的には光集積回路への応用が期待できる。現在の集積回路ではSiの物性限界に近づき更なる速度向上が難しくなっているが、LDと集積回路の混成により動作速度の大幅な向上が望める。

このように様々な利点があるが、Si基板上にGaN結晶を成長するとSiとGaNの格子定数や熱膨張係数の違いにより欠陥やクラックが発生する。この問題の解決策としてSi基板を加工して成長領域を限定することで高品質な結晶を得ることに成功した。またこの手法を用いると成長基板を傾けることで成長面を任意の傾きに制御でき、従来用いられている結晶面とは異なる半極性面の結晶が成長可能となった。この半極性面の結晶を用いると従来の面に比べ高効率な発光デバイスや、作製が難しい緑、黄、赤色に発光する結晶が作製可能と考えられる。現在この結晶上に青色レーザー光を発生する光共振器構造を作製した結果、光励起によりSi基板上で初めて青色レーザー光が発振した。発光特性を測定した結果、この結晶から品質の良いLDの作製が期待できることが判明した。今後更なる研究を進め、電流注入によるLDの駆動を目指しながら、青色だけでなく緑や赤などの長波長のLDの作製し、安価な省エネルギーかつ小型化が可能なRGB白色LD光源実現への足掛かりとなることを目指している。

図1 加工Si基板を用いた半極性GaNストライプ結晶の作製イメージ 選択成長法とSi基板の加工を組み合わせて作製している。

図2 Si基板上半極性GaNストライプ結晶のSEM像 10um周期でストライプ型の結晶をアレイ状に成長している。

図3 LD作製イメージと結晶の発光写真レーザーにおいて重要な横モードを表す、周期的な発光がみられる。

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