Jimenez Felixジメネス フェリックス

計算理工学専攻 博士後期課程2年
  • 1989年生まれ
  • 2014年3月 中京大学情報科学研究科 博士課程(前期課程)修了
  • 2014年4月 名古屋大学工学研究科 博士課程(後期課程)進学
  • 2014年4月 日本学術振興会 特別研究員(DC1)採用

共感表出モデルによる教育支援ロボットの開発

近年、学習を支援する教育支援ロボットが注目されています。これらのロボットの問題として、学習者がロボットとの学習に徐々に飽きてしまうことがあります。この解決案として、ロボットが感情を持つかのように感情を表出する感情表出モデルを用いることが有効とされていますが、このモデルによっても学習が進むにつれて学習者はロボットの行動を画一的と感じ、再び飽きの問題が発生してしまいます。そこで私はロボットが学習者の気持ちに共感しているように感情を表出し、学習者にロボットと共に学習していると感じさせることで、飽きを防げるのではという着想を得ました。

私の研究では、学習者にロボットと共に学習していると感じさせる共感表出モデルを提案し、このモデルを搭載した教育支援ロボットの開発を進めています。提案モデルは、人の感情を円環上に表したRussellの感情円環モデルを基に、新たに正解と不正解用の二つの感情ベクトルを用い、学習者の正誤に応じて共感を表出するモデル(図1)です。感情ベクトルを学習者の正誤判定と解答時間に応じて変動させることで、学習者の学習経過に応じて感情を表出することを可能にしています(図2)。例えば、学習初め、学習者は長時間かけて問題を解く傾向があります。その場合、感情ベクトルは不活発側へ移動し、ロボットは比較的落ち着いた感情を表出します。そして、学習が進むと学習者は知識がつくため、短時間で問題を解けるようになります。その場合、感情ベクトルは活発側へ移動し、ロボットは学習者の好調子に合わせた感情を表出します。このようにして、提案モデルはロボットが学習者に共感しているような感情表出を可能にします。

実験では、提案モデルを実装したロボットと共に学習する「提案モデル群」、Russellの感情円環モデルを実装したロボットと共に学習する「Russellの感情円環モデル群」と、ランダムに感情表出するロボットと共に学習する「統制群」に学習者を振り分けて、1ヵ月間の学習(図3)を実施した。提案モデル群の学習者は、他の群に比べて実験前後のテストの点差である向上点が大きく、ロボットを好評価しました(図4)。また、提案モデル群の学習者から、「ロボットの表情と発話が自分の感情に似ている」などといった意見を聞けました。これらから、提案モデルを実装したロボットは、学習者に共感していると感じさせ、学習効果を向上させられることが示唆されます。今後は、実験で得られた学習者の成績データなどを基に学習者の特徴を把握し、その特徴に応じた感情を表出できる共感表出モデルに改良し、より実用的な教育支援ロボットの開発を目指していきます。

図1 Russellの感情円環モデル(左)、提案モデル(右)

図2 提案モデルの感情ベクトルの変動例

図3 実験中の様子

図4 各群の向上点の平均点(左)、SD法によるアンケート結果(右)

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