Takahashi Kouta髙橋 恒太

結晶材料工学専攻 博士後期課程2年
  • 1992年生まれ
  • 2016年3月 名古屋大学工学研究科 博士課程(前期課程)修了
  • 2016年4月 名古屋大学工学研究科 博士課程(後期課程)進学
  • 2016年4月 日本学術振興会 特別研究員(DC1)採用

次世代積層型集積回路に向けた不純物高活性化技術の開発

私たちの生活に欠かせないスマートフォンやコンピュータなどの情報機器の進化は、半導体集積回路の基本素子であるMOS型電界効果トランジスタ(MOSFET)の発展に支えられています。2000年代からは、従来行われてきた素子寸法の微細化に加えて、MOSFETに新規材料や新規構造を導入することで、半導体集積回路の性能向上を維持してきました。近年では、2次元的な集積化に留まらず、3次元的に半導体素子を積み重ねた積層型集積回路が提案され、今後の性能向上を牽引すると期待されています。

積層型集積回路の製造においては、下層半導体素子への熱ダメージを避けるために、低温プロセスによる上層素子形成が必須です。そこで、私が目指しているのが、低温プロセスに好適な多結晶GeSn薄膜を用いた絶縁膜上高性能MOSFETの創成です。高い電流駆動力を有するMOSFETの実現には、ソース・ドレイン領域の寄生抵抗低減のための不純物高濃度ドーピング技術が求められます。私は、不純物偏析の抑制が重要と考え、短時間での結晶形成が可能な水中パルスレーザアニール法による不純物活性化を研究しています(図1)。

熱伝導シミュレーションにより、本手法はレーザ照射によって生じる高温領域を表面から数100nmの範囲に限定できることを明らかにしており、下層半導体素子へ熱ダメージを及ぼさないと考えられます。これまでに、高濃度にSbを導入したGeSn薄膜に対し本手法を適応し、硬X線光電子分光法によるSb原子の化学結合状態評価を行っています。Sb原子の活性化による高結合エネルギー側へのピークシフトを観測しており(図2)、活性化率は6割を超えていることがわかりました。これに起因して、従来のドーピング技術では困難であった非常に高い電子濃度(~1020cm-3)を有する多結晶GeSn膜の形成を達成しました。この活性化手法は、他の不純物や半導体材料への適応も期待でき、学会においても大きな注目を集めています。

今後は、水中パルスレーザアニール法も用いた半導体デバイスの作製を行い、動作実証および特性評価をする予定です。これからも研究に邁進し、次世代半導体集積回路の発展に大きく貢献することを目指します。

図1 水中パルスレーザアニール法の模式図

図2 水中パルスレーザアニール法により形成したSbドープ多結晶GeSn薄膜のSb3d3/2光電子スペクトル

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