世界を照らす青色LED

電子情報システム専攻/赤﨑記念研究センター 教授 天野 浩

LED概略

LEDが文献に登場するのは1907年、カーボランダム(SiC)の両端に10Vの電圧を加えると黄色く光ったという記述が最初とされている1)。実用化は1962年、General ElectricのコンサルタントをしていたN.HolonyakとS.F.BevacquaによるGaAsPの赤色LEDが最初である2)。Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体を用いたLEDの1チップからの出力は年と共に向上し、今でも10年で20倍と言う驚異的なスピードの開発が続いている。この絶え間ない性能向上は、アメリカの研究者であるHaitzらによって指摘され3)、IC・LSIにおけるMooreの法則に準え、Haitzの法則と呼ぶ人もいる。作る側の立場に立てば、その開発競争を勝ち抜くため、常にオリンピック選手の様な努力が必要という過酷な分野である。

2000年以降、1チップからの出力向上の牽引役はAlGaInPの赤色からAlGaInNの白色 に移り、Haitzの法則を超えるほどのスピードで出力が向上し、同時に効率も向上している。Haitzらは、2025年には全世界で光源の55%程度はLED電球が用いられ、年間の電力消費低減量は1,100 TWh(Tera=10 12)、化石燃料では年間9.5兆円もの節約に相当すると試算している4)。日本の年間電力消費量が2009年度約960TWhであるから、世界中の灯りの約半分をLED電球にすれば、日本の総電力使用を賄って余りあるほどの効果となる。

さて、それでは現在のLEDチップの生産者は誰か、であるが、株式会社富士キメラ総研LED関連市場調査によれば、日本におけるLEDチップ生産は中国、台湾、韓国についで4位である。半導体、結晶、構造力学、熱力学や流体力学を知らなくても、生産性の高い大型装置を扱うメーカーから装置導入すれば、ある程度の性能を示すLED生産はできる。安易な大量生産に特化すれば、これまで日本のエレクトロニクス産業が歩んできた道と同じ末路をたどるのは誰でも予想できる5)。現在の日本に求められていることは、未来の技術開発、即ち未来のビジョンを示すことであろう。その高度な期待・要求に応えるために、多くの苦悩や新たな発見が今後も連綿と続いていくと想像される。今後どのように未来ビジョンを現実化させるか、過去の例を知っていると、判断の一材料になるかもしれないとの思いから、特に名古屋大学で行われていた頃の窒化物青色LED開発の歴史を振り返る。

GaN系青色LEDの開発の歴史

AlN、GaN、InNのなかで、合成された歴史はGaNが最も浅く1932年に最初の報告がある6)。1959年にはドイツ人の GrimmeissらがGaNの発光を観測しており7)、バンドギャップが紫外域に有ることを示していた。因みに筆者は2014年12月6日から12日のノーベルウィーク後、12月14日にスウェーデンのLund大学を訪れたが、そこにGrimmeissさんも来られており、大変驚くとともに、90歳を超える高齢であるが矍鑠としておられ、学生の頃、ぼろぼろになるほど論文の複写を読んだことのある著者に直接お会いすることが出来、涙が出るほど大変感激した。Grimmeissさんによれば、1950年代後半から60年代初頭の若い頃、GaNを用いた発光素子という大変広い範囲の特許を書かれたそうで、君たちの邪魔にはならなかったか、とお話しして頂いた。大変僭越ながら、”あなたのご業績は何事にも変えられない、大変素晴らしいものです。我々はあなたのご意志を受け継いでここまで頑張ってきました。ただ、現在の青色LEDに関しては、GaNでは無くInGaNを発光層として用いているので、あなたの特許の範囲外です”、とお伝えした。

GaNの最初の単結晶作製はハロゲン輸送(HVPE)法により1969年8)、その2年後の1971年にGaNを用いた青色LEDがPankoveによって初めて試作された9)。Zn添加の高抵抗GaNと故意に不純物を添加していない低抵抗n型GaNのMIS型が用いられた。その後、日本でも東京大学の青木研究室でGaNの研究が開始され、1974年にはZnを添加したGaNの低温でのフォトルミネッセンスに関する報告を行っている10)。またヨーロッパではPhilips11)、日本では日立12)が、Pankove等と同じMIS型のLEDに関する報告を行っている。

このように世界的な盛り上がりを見せる中、当時松下技研(株)の赤﨑勇先生は、赤外レーザダイオードの室温連続発振で著名な日本電気の林厳雄氏と共に、1975年より通商産業省の青色発光素子プロジェクトを始められた。赤﨑先生はGaN、林厳雄氏は二次高調波結晶を選択された。赤﨑先生は、最初分子線エピタキシー法でGaNの結晶成長を始められ、後にHVPE法に特化して青色LEDの実現を目指した。PankoveのLEDの発表から10年後の1981年に、同じ発光原理に基づくMIS型の青色LEDが松下技研(株)、現在のパナソニックよりサンプル出荷された12)。電力効率は最大で0.12%であった。更にその10年後の1991年には、軸上光度を格段に高めたLEDが豊田合成(株)において試作・サンプル出荷されている13)。

これらの構造ではp型GaNが使われていない。1970年代よりp型化を目指した研究は数多くなされており、例えばスタンフォード大学の学生であったMaruska等は1973年にZnの代わりにMgドープ層を用いた紫色LEDをHVPE法により試作している14)。しかしp型では無かった。当時、もし丹念にMg濃度を少しずつ変えて試料を作り、評価を繰り返し行えばp型GaNを見出すことはできたかもしれない。それが実際にはできなかったのは、主に二つの原因が考えられる。ひとつは“自己補償効果”という概念による心理的束縛、もう一つはHVPE法という結晶成長法の不安定性である。当時、GaN系やII-VI族ワイドギャップ半導体はp型を作るのが殆ど困難で、その原因としてアクセプタ不純物をドーピングすると、同じ数だけドナー性欠陥が生成され、自己的に補償してしまうためにp型結晶ができないという考え方、いわゆる自己補償効果という概念が浸透していた。一見それらしい話ではあるが、必ずしも正確でない理論に基づいて“やっても無駄”という概念に捉われていると、成功を確信して開発を遂行することはできない。その心理的束縛に加えて、思うように単結晶成長ができないのであれば,尚更実験の遂行が困難であろうことは想像に難くない。この話で理解したことは、 “理論的に無理”、“やっても無駄”という言葉や概念は、物理的に本当に正しいかどうかよく検証する必要があること、及び、丹念な検証が必要な開発テーマは、実験のスピード及び再現性の確保に努めるべき、ということであった。

現在の白色LED作製は、良くご存じの通りⅢ族原料ガスとして有機金属化合物を用い、窒素原料ガスとしてアンモニアを用いる有機金属化合物気相成長(MOVPE)法が用いられる。1961年、MonsantoのRuehrweinが特許を取得し15)、その後1971年、ManasevitらがサファイアおよびSiC基板上へのGaNおよび窒化アルミニウム(AlN)の成長を行っている16)。MOVPE法は単一箇所の加熱であり、ガス流量のみで膜厚制御できるため、薄膜多層構造作製に適している。赤﨑先生は1981年に松下電器産業東京研究所から名大に移られた。翌年卒業研究生として赤﨑研究室に加わった私は、一から、即ちMOVPE装置の組み立てから勉強させていただいた。当時は1975年にBill GatesとPaul AllenがMicrosoft社を立ち上げ、1976年にSteven JobsとStephen WosniakがApple Iを作った後、パーソナルコンピュータ(PC)が隆盛を迎えていた頃で、大学1年から3年のころは是非PCの発展に尽くしたいと考えていた。残念ながらCPUの設計を研究していた研究室は当時なかったが、赤﨑研究室の卒業研究テーマとして“GaNによる青色LED”という言葉を見つけ、当時ブラウン管で大きな図体で電力消費も激しいディスプレイを画期的にスマートにできる、との思いから、すぐに赤﨑研究室に入る決心をした。

1985年には、有住研究室のころから続いていた伝統の工学部2号館の古い研究室から引っ越して、新しいクリーンルームで実験できるようになった。因みに有住徹彌先生は、日本で初めてゲルマニウムトランジスタの作製に成功された方である。結晶成長に関するスピード及び再現性に関しては、実験を繰り返す中で1985年に見出された低温AlNバッファ層の導入により確保され、物性評価には十分の結晶品質を有するGaNをサファイア上に再現性よく成長させることができるようになった17)。この低温バッファ層が生まれたのは、有住研究室からの伝統が生きたためであると思っている。まだ工学部2号館に学生居室があった頃、当時講師の澤木先生から、昔話をよく聞いていた。その中に、名大から豊橋技術科学大学、東大に移られた西永先生が居られた頃、Si基板の上にボロンリン(BP)を気相成長する際、直接BPを成長させると砂粒のような結晶しかできないが、最初少しだけPを付けると、表面がきれいになることがあったらしいよ、というお話があった。澤木先生の推察によれば、Pが結晶核のように働いていると思う、とのことであった。この系の格子定数差は16%程度で、GaNと基板として用いているサファイアとほぼ同程度である。状況が非常に似ていたので、炉の調子がたまたま悪かったとき、温度を上げずに低温でAlNを少しだけつけて、その後昇温し、GaNを付けたのが、今では標準技術となった低温バッファ層である。GaNに代えてAlNを用いたのは、当時同じ装置で研究を行って居た現物質・材料研究機構の小出さんがAlGaNおよびAlNの成長を行っており、小出さんの作るAlNの方が、私のGaNよりも表面がきれいであったため、最初AlNを薄くつければGaNもきれいになるかな、と思ったからである。ただ、ここで、私は大きな失敗を経験した。特許明細の素案を書かせてもらったのであるが、低温堆積層としてAlNのみに限定し、GaN低温緩衝層は外してしまった。勿論GaN緩衝層の実験も行ったのであるが、1回やってAlN緩衝層の場合の様な平坦なGaNが得られなかったので直ぐにあきらめてしまった。特許の準備の際、あまり範囲を広げ過ぎると通りにくくなるという話を聞いて、実験もそれに合わせて1回の失敗のみでやめてしまい追求を怠ったのが、理由である。また、同じ材料の低温バッファ層に関してはGaAsをSi上につける際に、例えば沖電気の秋山氏らがすでに報告しており18)、材料が違うだけで真似をしていると思われるのが嫌だったためでもある。ただその後、現米国UCSB教授、当時日亜化学(株)の中村氏は、1991年に低温GaNバッファ層に関する論文を発表され、また日亜化学工業(株)は、同じ1991年の3月に、AlNを除くすべてAlGaN組成の低温バッファ層を特許として権利化されている20)。

AlN緩衝層を使って再現性よくGaNの結晶成長ができるようになって、LEDより技術的に格段に難しいレーザダイオードの実現を考えるようになり、そのためにはp型の実現が必須と考えた。きれいな結晶ができるようになった1985年から博士後期課程に入ってずっと、Znを添加したGaNの成長に特化したが、学生の間はp型結晶はできなかった。ただ、幾つか興味深い現象にも出会っている。低温でフォトルミネッセンス(PL)を測ると、非常に線幅の鋭い中性アクセプタに束縛された励起子発光が観測され、それがサンプルごとに若干ピーク位置がずれることに気が付いた。当時、低温でPLを測定する装置が研究室では自由に使用できなかったので、稲沢にある豊田合成(株)まで借りに行った。昼は名大で結晶を作って、夜に原付で1時間くらいかけて稲沢に行き、PL装置を借りて測定するという暮らしを6か月くらい続けてデータをためたところ、X線回折を用いて測定した格子定数と比較すると、きれいに格子定数に応じて励起子発光エネルギーがシフトしていることがわかった。さらに、基板として従来用いられているC面のサファイア上では発光線は1本なのに対して、c軸が面内にあるA面サファイアを用いるとc軸方向とc軸に垂直方向の微妙な歪の違いによって発光線が2本に分裂することがわかった。これは大発見と思い、博士後期課程3年の1987年、名古屋大学で秋の応用物理学会があったので登壇を申し込んだ。意気揚々と会場に行ったところ、部屋には4人、赤﨑先生、司会者、どなたかわからない方と私しかおらず、如何に自分たちが少数派であるかを実感した。少なくとも、自分の将来は研究者ではない、と実感した記憶がある。

また博士後期課程2年の時、インターンシップの機会がありNTT武蔵野研究所でGaAsのカソードルミネッセンス(CL)の評価をテーマとして実験を行った。そのインターンシップの最後に、持参した試料を測定させていただく機会を与えられ、 Zn添加GaNのCLを評価中、青色発光強度が非可逆的に増大する現象が見出された。ひょっとして、と思い、Hall効果測定も行ったが、残念ながらZn添加した試料は高抵抗のままであった。

助手になってしばらく経った頃、J. C. Philipsの”Bonds and Bands in Semiconductors”を読んでおり、ZnよりもMgの方が可能性が高いことに気が付いた。当時貴重なMg原料のCp2Mgを赤﨑先生にお願いして購入して頂き、当時修士の学生である鬼頭さんと共にMg濃度を丹念に変えて試料を作り評価を行ったが、p型伝導性を示す結果を得ることは出来なかった。そこで、Zn添加の時と同じように電子線を当て処理した。ホットプローブで伝導性を調べてみるとp型の徴候が見られるとの報告であった。この時も、電子線照射装置は研究室になかったので、豊田合成(株)にお借りして、夜中実験を行った記憶がある。ホットプローブでは信頼性に欠けるため、より大面積を電子線処理し、van der Pauw法によるHall効果測定を実施し、間違いなくp型であることを確証した21)。更により確実な電子線励起電流測定でも、GaN:MgとGaNの界面で空乏層ができていることを確認している。ここでも大きな失敗をおかしている。最初この効果は電子線照射による温度上昇が原因と考えた。しかし、それではあまりに単純で物理的興味に欠けると思い、熱処理実験は行ったものの、温度設定を高くしすぎて熱的に劣化するなど1、2回程度行っただけで丹念に追及しなかった。その後もレーザ照射処理など一応確かめてはいるものの、真摯な態度とは程遠く、当然p型の確証は得られなかった。その後、日亜化学工業(株)の中村氏のグループは、単なる熱処理でもp型化可能であることを確認し、特許22)および論文23)を出されている。もし、p型化の物理の本質を理解し、熱処理実験を丹念に行っていれば、青色LEDの歴史も少し変わっていたかもしれない。

n型伝導性制御に関しては、1989年当時の豊田合成研究開発グループは非常に大きな業績を残している。低温堆積緩衝層による結晶成長技術の進歩や原料の高純度化により、故意に不純物をドープしない場合、残留ドナー濃度は1015cm-3以下にまで減少した。このように高純度GaNの成長が可能な状態でSiをドープすることにより、1019cm-3に至るまでSi原料の供給量に比例して幅広く自由電子濃度、あるいは抵抗率を制御することが可能となった。

青色発光や緑色発光のためのInGaN混晶は,青色LEDのなかで最も重要技術の1つである。GaNの禁制帯幅は室温で約3.43 eVであり、紫外域である。従って、青色発光させるには、前述のようにバンドギャップ内に青色発光準位を形成するためにZnやMgなどの不純物をドープする必要がある。その場合の発光効率は発光準位の再結合速度と濃度に依存し、高注入では発光強度が飽和する。赤色LEDなどと同水準の高輝度LEDを実現するには、禁制帯幅を青色光付近の2.6〜2.8eV程度に制御すること、すなわちInNとの混晶であるInGaN発光層が必須である。MOVPE法によるGaNの単結晶成長温度は1000℃以上であり、一方、InNの成長温度は600℃以下と大きな差がある。しかも、GaNの格子定数とInNの格子定数は約11%程度異なる。このInGaNに関する取り組みでも失敗があった。1986年から1987年にかけて、一緒に実験を行っていた修士の学生がInGaNの成長を試みている。しかし、GaNとInNの格子定数差があまりに大きいことから非混和性の影響で混晶はできないという心理的束縛に捉われてしまい、たった1.7%という非常にIn組成の低いInGaNしかできなかった。その2年後、NTTの吉本・松岡等は、成長温度およびⅢ族原料に対するアンモニア供給量の比をGaNの成長時と比べて1桁以上極端に高くすることが重要であると主張し、77Kではあるが、InGaNからの強い青色フォトルミネッセンス発光を観測している24)。NTTのグループが成功して、我々が成功しなかった理由は簡単で、我々はキャリアガスとして水素を用いていたからである。Pdの純化装置を用いるため、原理的に水素が最も純度が高いという、いわば迷信に近いこだわりにとらわれ、NTTのグループのように窒素をキャリアガスとして用いなかった。またもし、非混和性について、その物理をより深く理解していれば、もっと実験を繰り返していたかもしれない。

以上、博士前期課程及び後期課程の学生として自ら実験を行っていた1980年代後半を振り返ると、多くの新しい発見に巡り合っているにもかかわらず、その大多数を生かしきれずに終わっている。今研究室の現場で仕事をしているみなさんには、このような失敗例を頭の片隅に入れ、是非それぞれの研究テーマに真摯に取り組み、最大限の成果を上げるために邁進して頂きたいと願う。

GaNという材料の今後について説明すると、GaNは青色LEDで人類に貢献した。自分が学生の頃に考えていたのは、ディスプレイ応用のみであったが、企業のある技術者の方が青色LEDと黄色の蛍光体の組み合わせで疑似白色LEDができることを見つけ、照明用に道が開かれた。それがきっかけでLED市場が大幅に拡大した。あるデータベース会社の試算によれば、2020年までに一般照明のLED化率は70%を越え、その省エネ効果は全消費電力の7%削減との事である。このGaNの潜在能力はLED応用に限らない。例えばパワートランジスタが実用化され、現在のSiを用いたIGBTやパワーMOSFETを置き換えることが出来れば、更に9.8%以上の消費電力削減が可能と試算されている。LEDとパワートランジスタを合わせると、全体の16%以上の消費電力削減効果となる。2011年前まで原子力発電は全発電量のうちの約30%を占めていたが、2015年3月現在では48炉あるうち、1つも稼働していない。そのうちの約半分をこの材料系のデバイスの実用化で省エネ可能と言うことになる。

2014年の科学白書によれば地球規模の問題として、エネルギー問題、環境・医療問題、及び食糧問題があげられている。エネルギー問題については、2020年を越えるあたりから、世界のGDPの伸びに電力供給能力が追いつかなくなると懸念されている。我が国が、いち早くこの材料系を基盤に用いた新エレクトロニクスにより省エネを実現すれば、課題先進国として世界の国々にその技術や考え方を提供出来る。またこの材料系のLEDは青色に留まらない。深紫外LEDも開発が急ピッチで進んでおり、今年量産化による普及が始まる計画である。深紫外LEDが量産化できれば、簡易亜型水浄化装置を世界各地に提供出来る。現在、まだ安全な飲料水にアクセスできない人口は7億人を越え、トイレなどの衛生設備にアクセス出来ない人は25億人以上と言われている。紫外線LEDを用いた簡易型水浄化装置は世界の人々を救う重要なツールの一つである。更に、食糧問題に関しても、LEDを光源とした野菜の室内栽培が急速に進んでおり、現在既に東芝製や富士通製の野菜が販売されている。このように、この材料系は地球規模のさまざまな問題を解決する重要な手段として、今後も研究すべき対象である。

最後に、もし自分が今20代であったら、どのような研究課題に挑戦するか、を考えてみる。現代はインターネットが普及し、ありとあらゆる情報は、インターネットを通して入手できる。コンピュータと並んで、インターネットは、20世紀最大の発明とも云える。もし自分が今20代であったら、このインターネットを越えるテーマへのチャレンジを望んだと思う。学生の皆さんへ、もし大きな夢を持っているのであれば、是非一度研究室を訪ねてください。必ず、お役に立てることがあると思います。

参考文献
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2 ) N. Holonyak and S. F. Bevacqua, Appl. Phys. Lett., 1 (1962) 82.
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