予防早期医療創成センターの新設
― 多分野産学官連携による「健康寿命の延伸」への貢献を目指して ―

名古屋大学 予防早期医療創成センター 特任教授  吉田 安子

名古屋大学では、2015年7月より、予防早期医療に関わる広範で複合的な研究課題に対し、工学や医学等、分野を超えた連携や、産学官の連携により、融合研究に取り組む拠点として「名古屋大学 予防早期医療創成センター」を設置しました。http://www.pme.coe.nagoya-u.ac.jp/

【左上】ナショナルイノベーションコンプレックス外観(センターは5階)【右上】センター内の最先端分析機器(液中原子間力顕微鏡)【左下】センター内実験室【右下】センター内会議室

設置の背景とセンターの目的

   日本は、平均寿命、高齢者数、高齢化のスピードという三点において、世界一の高齢化社会です。総務省が発表した2013年9月時点の推計人口によると、65歳以上の人口は3186万人となり、総人口に占める割合は25.0%と過去最高を更新、人口の4人に1人が高齢者となりました。少子高齢化時代を迎え、先進的な医療の実現は勿論のこと、生活習慣病(脳心血管系疾患、がん等)や認知症などの予防をし、介護になる年齢を少しでも遅らせる社会的システムの構築は、国家的な急務です。予防(特に個人の状況に応じた個別化予防)や早期医療の実現こそが、高齢者の「社会参加寿命」の延伸を促し、ひいては人口減少の日本にあって国力の維持・発展につながる重要な課題なのです。  予防早期医療創成センターでは、「高齢者の社会参加寿命を延伸」し、「活力ある長寿社会」を実現する為に、単独技術の研究開発に留まらず、社会システム全体を包括的に捉え、総合大学として多面的な観点で長期的な融合研究を発展させることを目指しています。予防早期医療に関する新しい価値を創造することを目的に、「健康から疾病までのシームレスなケアシステム」により、「蓄積した“個人”の健康・医療情報」から「“個人”に最適な予防や早期医療を行う」ことをスローガンに様々な融合研究が実施されています。

研究拠点:ナショナル・イノベーション・コンプレックス5階

 異分野・異業種が集う研究拠点として、東山キャンパス、ナショナル・イノベーション・コンプレックス5階にセンター実験室、及び事務局を設置しています。そこでは、産学官連携に欠かせないセキュリティ機能が保たれた実験室や会議室を用意され、基礎的な実験設備の他、細胞実験、遺伝子関連実験の先端機器が備えられています。  当センターでは、これまでに多くの融合研究の成果が創出されてきています。例えば、プラズマ滅菌器の開発、アレルギー診断ペプチドの探索、社会参加寿命の延伸を目指した個人健康情報の収集と利活用などがその例です。前身である要項設置センターでは、医工連携を核に出発しましたが、今では、工学研究科、医学系研究科、医学部附属病院、生命農学研究科、創薬科学研究科、環境医学研究所などの部局にわたり広く研究者が集う研究センターとなっています。更に、融合研究を刺激しより発展させるような契機として、定期的な研究会を開催しており、現在までに16回を数えその参加者数は1800人をこえており、社会からの認知度も高くなってきています。  現在当センターでは、予防社会システム研究部門(疾患リスクの発見と予防法の提案による健康寿命、社会参加寿命の延伸を目指す分野)と、早期医療研究部門(次世代機能性分子の探索的研究、高度医療機器開発、次世代診断デバイスの研究開発、創薬支援技術の研究開発等を目指す分野。)を設置し、新たな研究メンバーの参加を募っています。



予防早期医療創成モデル

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