附属材料バックキャストテクノロジー研究センター

工学研究科附属材料バックキャストテクノロジー研究センター長 小橋 眞

 名古屋大学大学院工学研究科附属材料バックキャストテクノロジー研究センターは、平成20年10月に、21世紀COEプログラム「自然に学ぶ材料プロセッシングの創成(Nature COE)」、さらに、「環境にやさしいナノテクを利用したものづくり(第I期知的クラスター創成事業)」の成果に基づき設立されました。本センターは、国内外の大学、研究機関及び企業等との共同研究・開発の促進に大きな役割を果たし、ナノテクノロジー・材料分野において優れた研究成果をあげてきました(第I期)。そして、H28年4月から第Ⅱ期の活動を開始することになりました。

 本センターは、設立当時から「材料バックキャストテクノロジー」という看板を掲げています。センター設立当初は「バックキャスト」という言葉が、まだ浸透していなかったため,初めて耳にした時は何を意味しているのか、よく理解していませんでした。設立から7年以上が経過し、様々な分野でバックキャストという言葉が使われるようになりました。本センターは、ターゲットを材料と技術に特化しています。10年後に必要とされている材料あるいは材料プロセス技術を想定し、その実現に必要な要素技術を見出し、今から突き進めていきましょうという考え方です。特に第II期では、バックキャストという語を抽象的な概念ではなく、具体的な方法論・要素技術として捉えていきます。「オーブンレンジの断熱材、発熱体だけを改良しても、電子レンジは生まれなかった。」というフレーズを耳にしたことがあります。電子レンジが発明された1940年代に、現在のコンビニで見られる「冷たい弁当を1分で温める」というニーズは想定されていなかったと思いますが、新しい技術と視点を取り入れることの重要性を示す典型的な例です。それでは、10年後の材料開発は、どうあるべきでしょうか?マスカスタマイゼーション、ナノ構造制御、メゾ構造制御が当たり前になっているでしょうか?本センターは産学で連携して、未来のあるべき姿を想像し、今から取り組むべき技術を考えていきます。シンクロトロン光、マルチスケールシミュレーション、機械学習、インフォマティクス、付加造形(Additive Manufacturing:AM)等の技術を駆使した材料開発を進めるとともに、これらの技術を使いこなせる高度な技能と開発力をもつ次世代人材を育てることもセンターの重要な役割と考えています。本センターには、材料系専攻、化学系専攻、機械系専攻、シンクロトロン光研究センター、未来社会創造機構、未来材料・システム研究所に所属する多様な専門的能力を持つ研究者が集結しています。この知識・知恵・技術を集結し、先端的研究を行うことで、次世代のモノづくり産業に技術革新をもたらす研究開発拠点となることを目指し、同時に、先端技術を駆使できる次世代研究者を育成することを重要なミッションとしています。

図1 材料バックキャストテクノロジーのイメージ

図2 材料バックキャストテクノロジー研究センターの役割

図3 材料バックキャストテクノロジー研究センターの組織と構成員

特集一覧に戻る