学術研究・産学官連携推進本部
―「 お付き合い」の産学連携から「本格的な産学共同研究」へ ―

学術研究・産学官連携推進本部 教授・総長補佐 西山 崇志

 グローバリゼーションの進展と経済・社会環境の急速な変化のなか、先を見通すことが困難な時代にあって、イノベーション創出における大学への期待はますます高まっています。名古屋大学では、基礎研究から産学連携までの研究全体を俯瞰した全学的な知的資産マネジメントを強化するため「学術研究・産学官連携推進本部」(以下「学術産連本部」と略します。)を設置し、大学の研究力強化と新しい社会的価値の創出に資する様々な取組みを展開しています。 本稿では、設置から約3年が経過した、学術産連本部と同本部が取組む今後の新たな産学連携(指定共同研究制度)の概要について紹介します。

学術産連本部が入居するNIC(NationalInnovation Complex)。NIC3階を本拠にURAが学内外を縦横無尽に活躍。

1.学術産連本部

 学術産連本部は平成26年1月に設置され、現在は40名を超えるURA(リサーチ・アドミニストレーター)が、大学の研究シーズの集約から研究資金の獲得支援、研究の実施調整、知的財産の確保、技術移転まで、一貫した研究マネジメントを行っています。企業からの技術相談など産学連携に関する問い合わせは、まず学術産連本部がワンストップ窓口になっており、学内研究者との調整や多数ある産学連携制度の中から適切な制度を提案し最適な連携を推進しています。

図1:学術研究・産学官連携推進本部の執行部メンバー。産学官から経験豊富な人材を配置。

2.革新知から社会的価値へ 〜名古屋大学発のオープンイノベーション〜

 これまで日本の大学と企業との産学連携は、大学の研究室の教員と企業の研究開発部門との間で個別に行われる共同研究などが大部分であり、本学でも1件あたりの共同研究の額(平均)は約410万円程度(注:国立大学等における1件あたりの共同研究の額(平均)はもっと低く、約230万円程度)です。最近は、大学の優れた革新技術や大規模研究施設を基盤とした産学プラットフォームを構築、又は産学官の技術・人材を一つに結集して研究開発拠点を形成するなど、大学をオープンイノベーションの結節点とした産学連携取組みが活発になっています。学術産連本部は、このようなオープンイノベーションのための新しい産学官連携を推進しています。

図2:産学連携の分類とその具体的な取組み例

3.次なる展開:「指定共同研究制度」を創設

 学術産連本部では、これまでの取組みに加えて、更に産学官連携の深化を図っていきます。今後は、企業とともに将来ビジョンを共有し、ともに課題解決を図る「ソリューション導出型」の共同研究を進めていきます。具体的には、大学と企業が「組織」対「組織」で、互いの学術的又は産業応用に関する知識・経験、保有する施設・設備等を最大限有効に活用して共同研究を行うとともに、その研究の企画・立案、研究成果の管理・活用を学術産連本部主導で適確に行っていく、新しい共同研究制度(指定共同研究制度)を創設しました。企業との包括的な産学連携取決めに基づいて、企業と複数の研究室との1対多、多対多を想定して、単に研究シーズ提供から、ともにソリューションを導出する方向へと共同研究の舵を切っていきたい、と考えています。

図3:指定共同研究制度の概要

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