先進モビリティ学プログラムの開設にあたって

機械システム工学専攻 教授 鈴木 達也

 未来社会創造機構モビリティ領域では、モビリティに関する研究・教育拠点づくりのための大学院生向けコースプログラム、「先進モビリティ学プログラム」を平成29年度より新たに開設します。本プログラムは、分野横断的な教育プログラムの一つとしてトヨタ自動車株式会社の協力のもと、単なる知識習得にとどまらず、自ら手を動かし、実機に触れることでシステムとしての自動車を学べる点に大きな特徴があります。自動車はそれ自体が多くの構成要素からなるシステムとみなせますが、一方で自動車が他の自動車とつながることでより大きな様々な社会システムの構成要素ともなり得ます。モビリティ学は、従来の自動車工学に新たなシステム志向の新概念を付加していくことでその体系化がなされていくと考えられます。

 カリキュラムは前期と後期に分けて通年で実施されます。前期は講義中心で後期は実験中心の構成となっています。前期は表1のような講義構成となっており、企業講師による自動車の基本概念、電動化、知能化に関する概論的講義のあと、まず自動車の基本性能に関する知識を学びます。その後、電動化コースと知能化コースに分かれて、より専門的な知識を習得します。希望する学生はどちらのコースも受講できるよう時間割上で配慮します。今後は、交通・社会システムコース等、専門コースの選択肢をさらに増やしていく予定です。また後期は、電気自動車の製作実習コースと模型車両を使った自動運転実習コースとに分かれて、実践的な知識を体得します。電気自動車の製作実習コースでは、名古屋大学の学生フォーミュラチームの協力のもと、学生フォーミュラで実際に用いる電気自動車の設計製作に加わり、車両製作の基礎を学びます(図1)。自動運転実習コースでは、様々なセンサ類やマイコンが搭載された1/10スケールの小型の模型自動車を活用し、自動運転に必要な様々な知識を習得します(図2)。

 このようなシステム志向のカリキュラムを提供できることは、モビリティに関するトップレベルの多彩な教員を多く抱える本学の強みの一つであり、これまで培われてきたモビリティに関する研究・教育活動の成果を反映したコースプログラムとなっています。また、トヨタ自動車株式会社との協働により、テストコースや製造ラインの見学、企業の研究開発担当者を交えたグループディスカッション等も含まれる予定で、大学院教育における産学連携のさきがけ的なプログラムとも言えます。

 初年度は実験機材等の制約もあり、受講生を10名程度に限定する予定ですが、今後は選択制のコースも増やしつつ、より多くの受講生を受け入れられるよう改善を図っていきます。本プログラムに対するご理解とご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

 
 

図1 電気自動車の設計製作実習(後期)

図2  1/10スケール車両(ZMP社製)による自動運転実習(後期)

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