Wang Jianbiao王 建彪
- 1998年生まれ
- 2022年 9月 名古屋大学工学研究科 博士前期課程修了
- 2022年10月 名古屋大学工学研究科 博士後期課程進学
- 2024年 3月 日本学術振興会 特別研究員(DC2)採用
- 2024年10月 東京大学社会基盤学専攻 特別研究員採用

共有モビリティ最適化の効率的戦略:供給と需要のギャップを埋め、ユーザー体験を高める
世界的な規模で見ると、交通セクターは温室効果ガスの主要な排出源の1つであり、気候変動を加速させる要因となっています。モビリティのシェアによって自家用自動車の台数を減らすことは、温室効果ガス排出量の削減に寄与し、国際的な気候目標の達成に寄与します。また、都市が成長を続けるにつれ、交通の管理はますます複雑化しています。ライドヘイリング、カーシェアリング、公共交通などのシェアモビリティを活用することで、自家用車に依存した都市をより環境にやさしい都市に変えることができます。しかし、シェアモビリティの問題には、需要と供給に不均衡が生じる可能性があることです。モビリティの供給が交通需要に対して十分でない場合、旅行者は必要な移動ができず、未充足の交通需要が生じます。また、供給が需要を上回る場合には、交通資源が無駄になり、環境にやさしい交通システムとはいえません。
私の研究テーマは、シェアモビリティの効率的な管理に焦点を当てています。特に、シェアモビリティの限られた供給能力のために、どれだけの旅行者が希望したモビリティを利用できないかを推計することに関心があります。たとえば、バイクシェアリングシステムについては、そのような未充足の交通需要を推定するための新しい手法を提案しました(図1)。さらに、道路上を巡回するタクシーサービスについては、サービスの供給が動的であるため、推定される未充足交通需要は交通管理者にとって交通サービスの最適な戦略を立案するための貴重な情報を提供します(図2)。さらに、供給と需要の不均衡をよりよく解決するためには、シェアモビリティサービスの最適化が必要です。典型的なシェアモビリティであるバスのサービス設計に関する研究も行いました。具体的には、乗客が積極的に乗り換えを促されるカスタマイズバスシステムを提案し、未充足の交通需要がどの程度削減できるかを調査しました(図3)。
また、シェアモビリティの未充足交通需要は、実現されなかった社会活動につながる可能性があります。そのため、今後の研究では、このような波及効果を分析する予定です。これは政策立案者が、より持続可能で人間中心のモビリティサービスを設計する際の基礎情報となり、最終的には生活の質を向上させ、都市空間のより効率的な利用を促進することに繋がります。

図1 バイクシェアリングの未充足需要推定方法

図2 タクシー未充足需要の推定のための提案手法

図3 新しいバスシステムの設計