IIJIMA Takumi飯島 琢臣

土木工学専攻 博士後期課程3年
  • 1997年生まれ
  • 2023年3月 名古屋大学工学研究科博士前期課程修了
  • 2023年4月 名古屋大学工学研究科博士後期課程進学
  • 2025年4月 日本学術振興会特別研究員(DC2)採用
飯島 琢臣

波浪外力による海底地盤の弾塑性変状メカニズムの包括的解明

防災・減災を担う防波堤・防潮堤や再生可能エネルギーの供給源となる洋上風力発電所などの海岸・海洋構造物は、近年、重要な社会インフラとして建設需要が高まっています。一方で、これらの構造物が、波浪や地震外力が引き起こす液状化や洗堀などの海底地盤変状により被災する事例が世界各地で報告されています。しかし、このような災害を齎す海底地盤変状の具体的な発生メカニズムは未だ十分に解明されていません。そのため、有効な工学的対策を提案するに至っていません。

そこで私は、波浪外力による海底地盤変状のメカニズムの解明を目的として、主に弾塑性・有限変形の混合体理論に基づいた数値解析手法を用いて研究を進めてきました。

具体的な取り組みの一つとして、波浪外力作用下での海底地盤変状問題に対する数値解析手法の妥当性検証(Verification & Validation)を行いました。Verification の段階では、比較すべき理論解自体が表現できる地盤の透水性の範囲に限界があることを発見し、その限界を克服する理論解を新たに導出しました。さらに、理論解が仮定する水平方向に無限に広がる地盤の挙動を与える境界条件の表現方法を新たに考案し、数値解析手法のVerificationを達成しました(図1)。 Validationの段階では、土の弾塑性特性を記述する構成式を搭載した数値解析手法により、模型実験で観測された「波浪外力の継続作用下で地盤が液状化し、その後圧密する現象」を再現できることを見出しました(図2)。また、波浪外力が海底地盤の液状化を引き起こす要因のうち、気泡の存在(間隙水の圧縮性)と波浪形状の多次元性が海底地盤変状に与える影響の解明にも取り組みました。さらにこれらの要因を考慮した上で、海底地盤における液状化と圧密現象のメカニズムについて、土の弾塑性特性の観点から説明を試みました。

今後取り組む予定の課題の一つには、海底地盤表面における接線方向流速が地盤変状に与える影響の解明があります。この課題には「地盤内の間隙水の加速度が地盤の加速度にほぼ等しい」とする間隙水の静的浸透の仮定(u-p仮定)を前提にする従来の数値解析手法では対処できません。このため、動的浸透が考慮可能なより厳密な定式化(Full formulation)に基づく解析手法を波浪問題が扱えるよう高度化して、今後の研究を進めていきます。

Miyamoto, J., Sassa, S., and Sekiguchi, H. 2004. Progressive solidification of a liquefied sand layer during continued wave loading. Geotechnique 54(10), 617‒629.

図1 水平変位uxと鉛直変位uzの波浪一周期作用間の関係、数値解析解と理論解の比較

図1 水平変位uxと鉛直変位uzの波浪一周期作用間の関係、数値解析解と理論解の比較

図2 鉛直方向異なる4点での過剰間隙水圧の時間変化、数値解析解と実験観測値の比較

図2 鉛直方向異なる4点での過剰間隙水圧の時間変化、数値解析解と実験観測値の比較

未来の研究者一覧に戻る