環境土木・建築学科
カーボンニュートラル社会を具体化する

環境学研究科 都市環境学専攻/工学部 環境土木・建築学科 准教授 白木 裕斗

2020年に、わが国でも2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指すことが宣言されました。他方で、カーボンニュートラルを実現する社会で、どのようなエネルギー源を用いており、どのような機器を利用して、どのような生活を営んでいるかは定かではありません。環境学研究科都市環境学専攻の白木研究室では、目標を達成する社会の具体像を描くことを目的として、数理モデルを用いたシミュレーション分析を行っています。例えば、1時間単位の電力需給を考慮可能な電力システムモデルを用いて、カーボンニュートラル化した電力システムではどの程度の再生可能エネルギーが導入されるか、電力需給を安定化させるにはどの程度の調整力(蓄電池、デマンドレスポンス、地域間送電、出力抑制)が必要か、などを定量的に推計しています。また、市町村規模を対象にしたエネルギーシステムモデルを用いて、自治体単位でカーボンニュートラルを実現する際には、どのような技術がどの程度必要か、他の自治体とどのように連携する必要があるか、などを定量的に推計しています。

図1 電力システムモデルの概要。日本を複数地域に細分化し、1時間ごとの電力需要やCO2排出目標を入力条件として、費用最小となる電源構成を推計する。Shiraki et al. (2016) Journal of Cleaner Production

図1 電力システムモデルの概要。日本を複数地域に細分化し、1時間ごとの電力需要やCO2排出目標を入力条件として、費用最小となる電源構成を推計する。Shiraki et al. (2016) Journal of Cleaner Production

図2 CO2大幅削減を実現する社会における2050年の一日の電力需給の推計結果(例:太陽光発電の出力が高い夏季平日、太陽光発電の出力が高い中間期の休日、太陽光発電の出力が低い夏季平日) Fujimori et al. (2019) Nature Communications

図2 CO2大幅削減を実現する社会における2050年の一日の電力需給の推計結果(例:太陽光発電の出力が高い夏季平日、太陽光発電の出力が高い中間期の休日、太陽光発電の出力が低い夏季平日) Fujimori et al. (2019) Nature Communications

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