環境土木・建築学科
建築耐震技術の向上、耐震性能評価手法の構築に向けた国際共同研究
減災連携研究センター/環境学研究科 都市環境学専攻
工学部 環境土木・建築学科 准教授 長江 拓也
工学部 環境土木・建築学科 准教授 長江 拓也
台湾國立成功大学設計学部の研究者、中国天津大学建築工程学院の研究者と、それぞれ大規模な震動実験に基づく国際共同研究に取り組んでいます。我が国をはじめとする地震国では、大地震時における建物群の損傷の程度が社会における物理被害、経済損失に多大な影響を及ぼします。鉄筋コンクリート造マンション、鉄骨造オフィスビル、木造住宅など、各種建物の多くの倒壊は、構造骨組の局所破壊が伝播して生じる構造システム全体としての強度低下によって引き起こされます。建築を構成する内外装材や設備機器類の損傷は、建物機能の損失、それに伴うダウンタイムの主要因となります。本研究では、再現性の高い総合実験によって、様々な観点から、建物の損傷過程、破壊過程を明らかにし、数値シミュレーション技術に反映することで、建物の実性能を包括的に評価し、さらに、対策による性能向上を定量的に明示することで、社会の建物群を高耐震化に導く次世代型の設計法の構築を推進しています。

(左)台湾國立成功大学:2018年から継続的に計5度の共同実験を実施してきました。周期を高層ビル相当に調整した3層骨組(高さ12メートル)は名古屋大学が製作し、二次部材、設備機器の検証に毎年、繰り返し利用してきました。2024年7月には新型の振子免震基礎の検証実験を実施しました。名古屋大学の大学院生、学部生(計9名)が、現地にて設置準備とデータ計測に取り組みました。
(右)中国天津大学:2024年4月から運用が始まった世界最大の震動実験施設では高さ25メートル、重量1,350トンの試験体に震度7の揺れを与えることができます。2024年8月に実施された6層鋼構造骨組実験に名古屋大学の大学院生3名が参加しました。