応用物理学専攻
機能性材料開発の鍵 ハイエントロピー化合物

応用物理学専攻 准教授 平井 大悟郎

化学反応では、エンタルピーとエントロピーという2つの要素から成るギブス自由エネルギーが、より低くなる方向に反応が進みます。従来の物質合成では、化学結合の形成によって得られるエンタルピーの利得に注目してきました。しかし近年、5種類以上の元素を含み、エントロピー項で物質を安定化させる「ハイエントロピー化合物」が登場し、物質合成に大きな革新をもたらしています。私たちは、このエントロピー安定化効果を利用して新しい超伝導体の合成に成功しました。さらに、多元素を混合することで、超伝導転移温度や磁場耐性などの特性が向上することを見出しました。ハイエントロピーによる安定化は、物質合成の幅を広げるだけでなく、複数元素の組み合わせにより新たな機能を引き出す可能性を秘めています。今後、ハイエントロピー化は機能性材料開発の有力な手法となることが期待されます。

ハイエントロピー化合物の概念図 複数種類の元素を混合することで相が安定化し、新たな機能が発現します

ハイエントロピー化合物の概念図
複数種類の元素を混合することで相が安定化し、新たな機能が発現します

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