物質科学専攻
スズ含有Ⅳ族混晶半導体を用いたテラヘルツ帯量子効果デバイスの研究開発
物質科学専攻 助教 柴山 茂久
超高速大容量無線通信の実現に向けて、テラヘルツ帯の活用が期待されており、テラヘルツ波の小型発振器として、共鳴トンネルダイオード(RTD)が有望視されています。現在はInGaAs系のⅢ-Ⅴ族化合物半導体のRTDが実用化されていますが、本デバイスには希少かつ有害な元素であるInやAsなどが含まれています。そのため、低コストかつ無毒なⅣ族半導体による高出力なRTDの実現が嘱望されています。
我々の研究室では、Ⅳ族半導体の中でもSn含有Ⅳ族混晶半導体材料を用いたGeSn/GeSiSnヘテロ構造による高出力RTDの実現を目指しています。鳥本昇汰(修士2年)、柴山助教らは、分子線エピタキシー法によるGeSn/GeSiSnヘテロ構造成長時に、GeSn層にのみ水素ガスを導入しながら結晶成長するという新技術を開発し、本技術により、急峻なヘテロ界面形成とRTDの室温動作実証に成功しました。今後は、GeSn/GeSiSn RTDの更なる性能向上実現や発振実証を目指して研究開発を進めていきます。(*ACS Appl.Electron. Mater. Vol. 7, p. 7688 (2025). 国内外にてプレスリリース)
(a)GeSn層のみへのH2導入MBE成長により作製したGeSn/GeSiSn 二重障壁構造(DBS)の断面構造。急峻かつ均質なヘテロ界面を形成できている
(b)本試料のRTDにおいて、室温(300K)での負性微分抵抗(NDR)の発現に成功