低温プラズマ科学研究センターの設立

低温プラズマ科学研究センター長・教授 堀 勝

低温プラズマは、超低消費電力大規模集積回路に代表される電子デバイスや新機能素材、燃料電池などへの応用研究領域において、我が国のものづくりの生命線を担う最重要科学技術分野を担っております。

名古屋大学は、プラズマ研究所(1961年設置、現「核融合科学研究所」)から継続されるプラズマ科学の半世紀以上の歴史を有し、学理の構築とその産業応用に向けて、世界を牽引するとともに、多くの卓越した研究者や研究成果を生み出してきました。特に、2002年に採択された日本学術振興会21世紀COEプログラム「先端プラズマ科学が拓くナノ情報デバイス」では、電気系が一丸となって、先端プラズマ研究とその応用に取り組み、2004年に工学研究科附属「プラズマナノ工学研究センター」が設立されました。一方で、2002年にスタートした文科省「知的クラスター創成事業」において、東海地域の大学、愛知県、名古屋市、岐阜県、三重県が中心となって、「先進プラズマナノ科学研究拠点」の形成に向けて、産官学の連携が繰り広げられ、東海地域に、低温プラズマ科学の世界拠点としての基盤が構築されました。さらに、2013年には、プラズマ医療を先導する拠点として、「プラズマ医療科学国際イノベーションセンター」が設立され、プラズマのバイオ応用への展開を推進してきました。これらの両センターの活動を通じて、世界的な低温プラズマ科学研究の実績を集積する中で、名古屋大学に学術と産業界の架け橋となる低温プラズマに関する新しい共同利用・共同研究の拠点形成と機能強化、医療や農水産業などの新領域の開拓、世界をリードする教育研究が強く求められるようになりました。その結果、「プラズマナノ工学研究センター」と「プラズマ医療科学国際イノベーションセンター」を発展的に統合し、2019年4月1日をもって新たに名古屋大学「低温プラズマ科学研究センター」:Center for Low-temperature Plasma Sciences(CLPS)として発足するに至りました。同時に、我が国で初の低温プラズマ科学分野における文部科学省の共同利用・共同研究拠点としての認定を受け、現在で、29の他機関との共同研究の有機的連携の司令塔として、世界最高峰のプラズマ科学技術の開拓を行っています。

センターには、2015年に設立した「プラズマ科学プラットフォーム」(NIC4階2000m2)に設置・運用している160台の独自の最先端プラズマプロセス装置の実績(オリジナルな装置によるオンリーワンのプロセス)と、世界一のプロセスプラズマ計測技術(プラズマ中の粒子パラメータの定量計測)を駆使し、さらに高度化することによって、産官学の連携に基づいたプロセス・材料デバイス・装置イノベーションの継続的な創出と世界21カ所とのグローバルな連携による低温プラズマ科学を推進しています。また、理工、医療農水産科学の融合による新たな未来科学技術の創成と持続可能な開発目標(SDGs)を推進し、人類の永続的発展に貢献し続けていきたいと思います。

皆様のご支援、ご協力をよろしくお願いします。

低温プラズマ科学研究センターの看板上掲式

低温プラズマ科学研究センターの看板上掲式

名古屋大学、名城大学、海外機関からの研究者が、「プラズマ科学プラットフォーム」に参集した。

名古屋大学、名城大学、海外機関からの研究者が、「プラズマ科学プラットフォーム」に参集した。

低温プラズマ科学研究センター設立記念式典・講演会の様子

低温プラズマ科学研究センター設立記念式典・講演会の様子

多くの出席者が、プラズマ科学プラットフォームを見学し、その環境と機能のすばらしさを満喫した。

多くの出席者が、プラズマ科学プラットフォームを見学し、その環境と機能のすばらしさを満喫した。

プラズマ科学プラットフォーム(クリーンルーム、バイオルーム、プラズマミニファーム、シールドルームを有し、160台のプラズマ装置と計測装置を設置し、国内外から多くの研究者、技術者や学生が参集して、共同研究を推進)

プラズマ科学プラットフォーム(クリーンルーム、バイオルーム、プラズマミニファーム、シールドルームを有し、160台のプラズマ装置と計測装置を設置し、国内外から多くの研究者、技術者や学生が参集して、共同研究を推進)

オンリーワンの最先端プラズマプロセス装置

オンリーワンの最先端プラズマプロセス装置

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